坂田靖子

坂田靖子さんというマンガ家の「春の磯」というマンガがあるんだけど、これを私は気に入ってて夜寝る前に読んだりしている。坂田靖子さんの絵柄は、とても簡素な線で描かれている。文字量も簡素。「春の磯」のあらすじは、簡単に言うと、貧しい漁師の娘さんがハマグリの夢に包まれて、そこで出会った男の人と夫婦になって子供、孫に恵まれてとしてたけど、ついに夫にこれ夢なんかな?と聞いて素性を明かしたら、現実に戻ってしまって〜というお話。私はこの夢から覚めて、「不思議な夢だったわ」という海女さんの横顔のシーンが凄く好きで何度と読み返してる。なんかね、現実に戻った娘さんは、昆布干したり、網を繕ったり、テキパキ働くの。夢を恨めしく思ったり、惨めとも思ったりしないで。機嫌良く働くの。でも、ふっとね「不思議な夢だったわ」って、懐かしく、可笑しく、少し寂しく思ってる横顔がね、簡素な絵柄に表れてて、不思議とね。テキパキ働く中にふっと、夢をみるというか。そういう、なんてゆうかなー美しさがあるマンガなんだよね。最後はハッピーエンドで、本当素敵なマンガだよ。